劇場から本部へ
─ 映画を「届ける」キャリアチェンジ ─
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新卒で入ったテレビ制作会社を離れ、2010年に松竹マルチプレックスシアターズ(以下、SMT)へ契約社員として入社したS.Tさん。現場を愛し、憧れの支配人にまでなった矢先、思いがけず本部・番組編成室へ。「まさか、自分がこの道に」と語るS.Tさんに、映画館が育ててくれた11年と、映画を“届ける”5年間の仕事の面白さをうかがいました。
2010年入社
前職:テレビ制作会社(AD)
新卒で入ったテレビ制作会社をへて、2010年にSMTへ契約社員として入社。劇場マネージャーから副支配人、支配人へとキャリアを積んで11年。「本当に、たくさんの失敗をしてきました」と笑顔で語るS.Tさん。
現在に至る5年間は、本部・番組編成部 番組編成室のマネージャーとして、配給会社との連携や上映スケジュールづくりをはじめとした幅広い業務を担っています。
父と通った映画館が
原点だった
まずは、劇場の世界に入る前までのキャリアを教えてください
S.Tさん
大学を卒業して、テレビの制作会社に入社しました。映像の仕事への憧れが、ずっとあったんです。
ただ、当時の現場は本当に過酷で。何か月も家に帰れず、会社の椅子を並べて眠るような日々が続きました。最後は体調を崩してしまい、それが退職のきっかけです。
映像に関わる仕事としては、確かに「映画館」も一選択肢ですね
S.Tさん
それもありますが、どちらかというとシンプルに映画が好きということと、地元の映画館がSMT運営のムービックスだったからなんです。映画は物心つく前から、生活の中にありました。父に連れられて、小さい頃からよく映画館に通っていて。
まだ吹き替え版なんてない時代に、小学生の僕が、英語の字幕映画を、意味もわからないまま隣で観ている。それでも、なんだか楽しかった。あの記憶がずっと残っているんです。
お父さまと一緒に、映画館へ通われていたのですね
S.Tさん
はい。振り返ると、父との時間は、ほとんどが映画館の中にあった気がします。
中学、高校、大学と大きくなっても、二人で映画を観に行っていました。父は、あまり多くを語る人ではなかったんですが、互いの言葉は少なくても、同じスクリーンを見上げているその時間そのものが、父とのコミュニケーションだったんだと思います。
いまはご自身も親の立場ですが、お子さんと映画館へ行くことは?
S.Tさん
娘が二人いるので、休みの日には近くのムービックスへ、家族で足を運ぶこともしばしばです。父がしてくれたことを、今度は自分が娘たちにしている。いつか娘とも、あの頃の父と僕みたいな関係になれたら、なんて思っています。
映画館という場所そのものにも、思い入れがあったのですね
S.Tさん
作品が好きなのはもちろんですが、それ以上に、あの空間が好きだったんです。照明が落ちて、予告が流れて、これから始まるぞ、という、あのワクワク感。あれを味わえる場所は、映画館しかありません。
学生時代は飲食のアルバイトもしていて、サービス業が自分に向いているという実感もあった。「映画館で働いてみたら、面白いんじゃないか」。その気持ちが、自然と湧いてきました。
数ある映画館のなかで、SMTを選んだ理由は?
S.Tさん
子どもの頃から通い続けた場所で、自分のなかでは「映画館といえばムービックス」というイメージが、根強かったんです。正直、ほかの選択肢はあまり浮かびませんでした。ここでご縁がなかったら、そのときにまた考えよう、というくらいの気持ちでした。
入社は契約社員からですよね?当時、雇用形態は気になりませんでしたか?
S.Tさん
まったく気にしていませんでした。前職も契約社員でしたし、それよりも「映画に携わりたい」という気持ちが先にあって。ちゃんと休みがあって、お給料もいただけるなら十分だ、と。実際、SMTに入って初めて、「きちんと休める仕事って、こんなに気持ちが楽なんだ」と実感したくらいです。
ゼロから覚えた現場と、
失敗が教えたSMTの風土
入社後は、覚えることも多かったのでは?
S.Tさん
毎日がむしゃらでした(笑)。映画館でのアルバイト経験もない、本当にゼロからのスタートで。売店のオペレーション、劇場内の清掃、当時は対面でのチケット販売だったので、お客様に作品名をうかがって手売りする方法も覚えて。また当時は、映写室で35mmフィルムを自分の手でかけていました。今では考えられませんが、映写機の扱いまで習得していましたね。
入社当初にかぎらず、それはもう、数々の失敗をしてきました(笑)。
なかでも、つらかった失敗はありますか?
S.Tさん
映写機のトラブルです。当時の機械は故障も起きやすくて。ある日、上映の最中に、映写機が止まってしまったんです。どうしても復旧できず、上映を中断せざるを得ませんでした。
客席には、何百人ものお客様。現場は混乱し、僕自身もひどく動揺して。「自分の技術が足りなかったせいで、この方たちは映画を観られなかった」。その事実が、本当につらかったです。
大変でしたね。同僚からの目も痛かったのでは?
S.Tさん
ところが、仲間の誰ひとりとして、僕を責める人は、いなかったんです。
支配人も、先輩も、同僚も。それどころか「よく頑張った」「お前のせいじゃない」と声をかけてくれて。あの言葉に、どれだけ救われたか。ありがたくて、仕方なかったです。
この経験があったから、自分がマネジメントをする立場になっても「誰に対しても、精一杯やった結果のミスは責めない」と決めました。「ベストを尽くした結果なんだ、次へ向かおう」と。あの日もらった温かさは、いまでも僕の変わらない軸になっています。
「ダメなことはダメ」と
育ててくれた憧れの背中
「支配人になりたい」と思ったのは、いつ頃ですか?
S.Tさん
入社してすぐです。当時の支配人が、とにかく男気があって。
お客様から厳しいご意見をいただく場面でも、さっと現場に降りて「俺が代わる」と引き受けてくれる。映画館の責任者って、こんなにかっこいい仕事なんだと、純粋に憧れました。
どんな上司だったんですか?
S.Tさん
社会人経験もほとんどないまま入社した僕に、言葉遣いから社会的なマナーまで、ダメなことはダメと、はっきり言ってくれる方で。よく叱られもしました(笑)。でも、困ったときには必ず助けてくれた。厳しさと優しさ、その両方で接してくれたから、いまの僕があるんだと思います。
現場での約11年間、何が一番の原動力でしたか?
S.Tさん
一緒に働くアルバイトスタッフのみなさんとのコミュニケーションです。大げさでなく、九割はそこに力を注いでいました。スタッフが気持ちよく働けるかどうかが、そのままお客様への接客の質につながりますから。
一緒に働くメンバーが、少しずつ成長していく。その姿を間近で見られることが、現場の年月を支えてくれた、一番の喜びでした。
憧れの支配人になった、
その矢先の新しいキャリア
副支配人を経て、いよいよ支配人に。当時はどんな心境でしたか?
S.Tさん
副支配人を一年半ほど務めて、支配人に昇格したのが2020年です。これから支配人としてバリバリやっていくぞ、と気持ちが高まっていました。ところが、その矢先にコロナ禍が来て、映画館が休館になってしまったんです。
せっかく支配人になられた矢先に、コロナ禍と重なってしまったのですね
S.Tさん
コロナ禍が明けて、さあ、ここからみんなで頑張ろう、というときに、今度は本部への異動の話が来ました。ずっと目標にしてきた支配人になれたばかりで、これからだと思っていたので、驚きはありましたね。
それでも、異動を受け入れられた
S.Tさん
番組編成部に、僕が現場で働いていた頃をよく知っている先輩方がいたんです。
信頼している先輩方と同じフィールドで一緒に働ける、またとないチャンスだな、と。実際、番組編成部や本部の皆さんは現場上がりの社員が多いのも特徴です。新しいフィールドで動いてみよう、という気持ちも、少しずつ湧いてきました。
SUMMARY
編集チームより
キャリアパスについては、SMTの採用サイトでもわかりやすく解説されているので、あわせて参考にしてみてください。
180度違う本部でも、
現場の経験は細部で活きる
本部に来て、現場との違いはどんなところに感じましたか?
S.Tさん
最初に感じたのは、現場で積み上げてきた技術的なことが、ほとんどそのままでは通用しない、ということでした。180度違う仕事で、はじめは何をどうすればいいのかもわからなくて。先輩や上司の背中を見ながら、配給会社さんとの交渉や一日のスケジュールの組み立て方を、少しずつ吸収していきました。
逆に、現場での経験が活きていると感じる場面は?
S.Tさん
活かせる経験がたくさんあることに、後になって気づきました。
たとえば、客層と時間帯の肌感覚。シニアのお客様は午前の回が強い、ファミリー層はお昼から夕方がコアな時間帯。現場で体に染み込ませた感覚があるので、スケジュールを組むときに自然と意識できる。作品の性質に合わせて上映時間をパズルのように組み立てる。それが、劇場の成果に直結するんです。
担当劇場の支配人から「こういう企画をやりたい」と相談が来たときも同じです。建物の造り、お客様の動線、どの位置で展開すれば効果的か。肌感覚でわかるので、実務的なアドバイスができる。劇場と配給会社さんの橋渡し役には、現場の感覚が欠かせません。
映画館の多くは、各地域の商業施設の中にあります。だから映画館だけでなく、施設全体の集客につながる企画を一緒に考えることも多い。地域の方々の力があって、はじめて映画を届けられているんだと、日々感じます。
S.Tさんがいる番組編成部のお仕事を、もう少し詳しく教えてください。
S.Tさん
番組編成部は「編成室」と「宣伝室」の二つに分かれています。
僕がいる「編成室」は、ひとことで言えばどの作品を、どの劇場で、いつ、何回上映するかを決める仕事です。配給会社さんと条件を交渉しながら、作品の公開から終了まで見届けます。そして担当劇場の支配人と一緒に、一週間の上映スケジュールを組み立てていく。このスケジュール次第で、劇場の成果は大きく変わる。まさに、ここが肝なんです。
ちなみに宣伝室は、本編の前に流す予告編の組み合わせや、館内の装飾など、映画を盛り上げる方向の仕事。
編成室が数字にシビアな実務だとすれば、宣伝室はもっとポジティブな役割で、同じ部署でも性格はかなり違いますね。ほかにも、チケット販売のシステムを支えるエンジニアの方など、ひとくちに本部といっても、キャリアの選択肢はさまざまなんです。
編成室・S.Tさんの、
ある一週間
編成室のマネージャーとして働くS.Tさんの一週間を、少しのぞいてみましょう。
月曜日
週の始まりは、一番緊張する日だといいます。担当する劇場の支配人と、一週間の上映スケジュールをすり合わせる。「この作品はあと一回増やそう」「この時間帯は動きが厳しいから調整しよう」。そのやり取り次第で、劇場の成果は変わってくるので、集中して臨む。「編成に来て5年になりますが、月曜日だけは、いまでも気が引き締まりますね」とS.Tさんは語ります。
火曜日〜金曜日
火曜から金曜は、配給会社との打ち合わせやデスクワークが中心。まだ公開されていない作品を先に観る「試写」に行く日や「この映画は、どう打ち出せば伝わるだろう」と考えながら、宣伝会議に加わる日もある。金曜日は、作品の公開が集中する日。フラッグシップの劇場で、お客様の入りを配給会社と一緒に見守ったり、イベントに立ち会ったりすることも。
この仕事ならではの、やりがいを感じる瞬間は?
S.Tさん
自分が担当している配給会社さんの作品がヒットした時は、心の底から嬉しいですね。
海外の有名な映画祭に参加させていただく機会もありました。まだ公開前の最新作を観て、面白いと思ったら配給会社さんと交渉し、新宿ピカデリーでの上映を実現する。編成室ならではの醍醐味です。自分が選んだ映画をお客様に観ていただいて、その反応が届く瞬間は、何ものにも代えがたいですね。
「映画が好き」「面白そう」
その気持ちで十分
本部の編成室は、どんな人が向いていますか?
S.Tさん
うーん… 僕でも、こうしてやれているので(笑)。正直、向き不向きは、そんなにない仕事だと思っています。強いて挙げるなら「泥臭い場面も、仕事として切り替えられる人」でしょうか。
編成室では、配給会社さんと数字をベースに、厳しい交渉をする場面も少なくありません。その一つひとつに思い悩みすぎると、しんどくなってしまう。いい意味で切り替えが早くて、次へと向かっていける方が、合っているように思います。
映画によほど詳しくないと、編成にはなれないのでしょうか?
S.Tさん
それが、そんなことはないんです(笑)。むしろ、「最新のトレンドを一生懸命追いかけて映画を観ている」という人のほうが少ないかもしれません。何が流行っているかは、詳しい人に聞けばわかりますから。業界的にも、映画マニアでなければできない仕事、ということは決してない。どんな方でもウェルカムですよ。
最後に、映画館の仕事に興味を持っている方へ、メッセージをお願いします。
S.Tさん
映画館が好き。映画が好き。面白そう!そんな気持ちだけで十分です。専門的なことは、これから覚えればいい。ひとりですべてを背負う仕事でもありません。チームで動いていますし、本当に間口は広いと思っています。
現場でキャリアを積んでいくと、現場でスペシャリストになる他にも、僕が歩いてきたような本部の仕事も見えてきます。映画をお客様に届けるだけでなく、どの映画を、どこで、いつ届けるかを動かしていく。映画との距離が、もっと近くなるんです。
映画により深く携わりたいという方も、ぜひ一度現場を経験して、本部の世界ものぞいてみてほしい。そんなキャリアの広がりを、一緒に楽しめたら嬉しいです。
父と並んで見上げた、あのスクリーンが原点だった。
その一本の「好き」から始まるキャリアが、SMTこと松竹マルチプレックスシアターズにはあります。
松竹マルチプレックス
シアターズの採用情報
※2026年2月調査時点
※参照元:松竹マルチプレックスシアターズ 採用公式HP
(https://jobs.smt-cinema.com/recruit-post/449/)
| 募集職種 | 劇場マネージャー(映画館運営) |
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| 雇用形態 | 契約社員 ※入社1年を経過した方は、希望により4年で最大3回の「社員登用試験」受験が可能。 |
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| 勤務地 | 関東・東北 橋本、昭島、亀有、柏の葉、つくば、川口、さいたま、伊勢崎、宇都宮、有楽町、東銀座、新宿、仙台 | 東海・中部・近畿 清水、三好、八尾、あまがさき、京都、 なんば、梅田 | 中国・九州 広島、倉敷、日吉津、周南、熊本 |
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| 勤務時間 | 8:00~25:00 (実働8時間、シフト制、休憩1時間) 【例】 早番 7:00~16:00/遅番 16:00~25:00 |
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| 給与/賞与・昇給 | 月給24万5,000円以上 別途、一律劇場手当1万円(月額) +各種手当+賞与年2回
※月20時間の見込み残業手当(31,955円)+月10時間の固定深夜割増手当(3,196円)を含む。超過分は別途全額支給。 【年収例】 360万円/劇場マネージャー/入社1年目(契約社員の場合) 400万円/劇場マネージャー/入社2年目(正社員の場合) |
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