映画館ビジネスと
経営の仕組み

当メディアは、株式会社松竹マルチプレックスシアターズをスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。

目次
CLOSE

映画館の運営は、接客や上映管理だけで成り立っているわけではありません。魅力的な作品をより多くのお客様に届けるための、映画業界ならではのさまざまな仕組みがあります。ここでは、映画館ビジネスの奥深い仕組みと、経営視点が身につく劇場運営の面白さについて解説します。

映画の感動を届ける
「映画館ビジネス」の基本

映画館は、映画という「コンテンツ」を鑑賞する「場所」を提供し、収益を得るビジネスモデルです。その収益の柱は、大きく分けて3つあります。

興行収入

興行収入のイメージ

興行収入は、お客様が映画を鑑賞するために支払う代金から得られる収入です。これが映画館ビジネスの核となる収益源ですが、売上のすべてが映画館の収入になるわけではなく、配給会社への配分を差し引いた分が、映画館の収入となる仕組みになっています。

興行収入は、上映作品の持つパワーに大きく左右されます。話題作や大ヒット作が公開されれば、集客は大きく増えます。上映する作品ラインナップの選定や、作品の告知・プロモーションも収益を上げるための重要な要素です。

売店収入(コンセッション)

ポップコーンやドリンクなどの飲食物販売による収入です。

興行収入と比べて利益率が高いことが多く、仕入原価と経費を差し引いた利益がそのまま映画館の手元に残るため、映画館ビジネスに欠かせない収益源です。ただし、コンセッションの売上は入場者数に大きく依存するため、やはり劇場ビジネスの根幹を担うのは「いかに多くのお客様に劇場へ足を運んでいただくか」という観点になります。

グッズ収入

映画パンフレットや作品関連グッズなどの販売による収入です。

興行収入や売店収入に比べると利益率は低くなりますが、商品によっては高額商品を取り扱うこともあり、内容によっては手残りが大きくなることもあります。また、作品自体の興行収入が振るわなかったとしても作品関連グッズがたくさん売れるケースも多く、いかにお客様の目に届く陳列にできるかを工夫して、商品を購入していただけるかを考える事が重要になります。

映画好きなら知っておきたい
興行と経営の仕組み

映画館ビジネスを理解する上で欠かせないのが「興行の仕組み」です。日本の映画興行は、主に「配給会社」と「興行会社(映画館)」の協力関係で成り立っています。

入場料収入の配分

入場料収入の配分をチェックするイメージ

お客様が支払った映画のチケット代は、まず映画館側の収入となりますが、その大半は「配給歩合」として映画の権利を持つ配給会社に支払われます。この配分比率は作品や契約内容によって異なりますが、業界の調査レポートによると、映画館がチケット収入の約40〜50%前後を受け取り、残りが配給会社などに分配される構造とされています*。

配給会社に支払われた配給歩合は、宣伝費や制作費の一部を「配給手数料」として配給会社が歩合で回収し、最終的に制作会社や出資者へと分配されます。一方の映画館側は、劇場運営にかかる人件費や賃料、光熱費などの経費を差し引き、残った分が運営会社の利益となります。

つまり、映画館は興行収入の中から分配される利益を、集客によって積み上げるビジネスです。大ヒット作品であっても、興行収入の約半分は配給会社に流れるため、いかに効率よくお客様を集めてスクリーンを回すか、そして付帯売上であるコンセッション売上やグッズ売上をどれだけ伸ばせるかが、経営安定の鍵となるのです。

※参照元:みずほ銀行「コンテンツ産業の展望2022」[PDF](https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/industry/sangyou/pdf/1069_02.pdf)

ブッキングと興行形態

劇場で上映する作品を決めることをブッキングと呼びます。

配給会社と契約歩率を決定し、上映終了後、歩率に沿って映画料を支払います。歩率に関しては、興行が振るわなかった場合、双方の交渉で契約歩率の変更を交渉します。興行形態には、全国300スクリーン以上、一斉に上映する「ロードショー公開」や、時期をずらして上映する「セカンドラン」などがあり、作品ごとに戦略的なブッキングが求められます。

過去の興行データを分析し、市場の流れを読むことは映画館の経営で重要な仕事の一つです。

経営者視点が身につく
「映画館運営」の面白さ

劇場運営の仕事には、このような映画ビジネスの仕組みを理解し、劇場全体の収益を安定して高めていくための「経営視点」が欠かせません。

データに基づいた収益改善

データに基づいた収益改善イメージ

映画館ビジネスでは、ヒット作を逃さないためのブッキング戦略や、繁閑の平準化といった収益効率を向上させるためのデータ分析が必要です。入場者数、客層、売上、時間帯別・曜日別の動員数などの実績から、映画館ごとにあった戦略を考えることが大切です。

地域に根差した「文化施設」
としての役割

映画館は、一度にたくさんの人を収容しコンテンツを楽しめる、地域の文化施設としての役割も担っています。周辺の商業施設や学校、企業などと連携してイベントやキャンペーンを行うことで、映画館に+αの付加価値を生み出すことができます。自社の経営資源を最大限に活かすため外部と連携することは、企業経営の基本ともいえる戦略です。

SUMMARY

接客や上映だけでない
映画館運営の仕事と魅力

映画館運営の仕事は、作品の上映管理やチケット販売、接客といった日常業務に加え、プロモーションなどの集客施策やコンセッションを含めた収益率の改善など、多岐にわたります。こうした業務に向き合う中で、映画館ビジネスや経営の仕組みを理解し、施策を考え実行していく力が身についていきます。

その仕事の最大の魅力は、映画館のスクリーンを通じて多くの人に作品を届け、感動や驚きを共有できる点です。劇場という拠点を通じて、地域の人々とつながりを持てるのも、映画館運営というビジネスならではの魅力でしょう。